塾のブランディングとは? 提供価値と期待価値の一致点から、すべての接点を設計する
塾のブランディングとは、塾が届けている提供価値と、保護者・生徒・講師・地域が求める期待価値の一致点を定義し、その定義から教室の掲示、紙面、Web、広告、AIが語る言葉までを設計することです。ロゴやデザインを新しくすることだけを指すのではなく、「なぜ、この塾なのか」という問いへの答えを見つけ、それをあらゆる接点で一貫して伝えていく取り組みです。
この記事では、学習塾・予備校から私立中学校・大学まで、教育機関のブランディングを専門に行ってきたカフーブランディングの考え方をご紹介します。
選び方が変われば、伝え方も変わる
塾を選ぶとき、保護者や生徒は、検索する。SNSを見る。口コミを見る。そして、AIに聞く。「どんな塾?」「うちの子に合っている?」。情報の選び方は、少しずつ変わってきています。
選び方が変われば、伝え方も変わります。では、何を伝えるのか。
偏差値でしょうか。合格実績でしょうか。設備でしょうか。もちろん、それも大切です。塾が積み重ねてきた実績は、保護者が安心して選ぶための確かな材料です。ただ、それだけを並べたとき、その塾ならではの理由が伝わりにくくなることがあります。
なぜ、この塾なのか。その答えを見つけるところから、ブランディングは始まります。
提供価値と期待価値
ブランドを考えるうえで、私たちは2つの価値に注目しています。
提供価値:塾が届けているもの
提供価値とは、塾が生徒や保護者に届けているものです。指導の方針、授業の進め方、教室の雰囲気、講師と生徒の関わり方、進路への向き合い方。塾が日々の教室で積み重ねていること、そのものが提供価値です。
期待価値:保護者・生徒・講師・地域が求めるもの
期待価値とは、塾に関わる人たちが塾に求めているものです。ここでいう関わる人(利害関係者)には、保護者や生徒だけでなく、講師や地域も含まれます。保護者が子どもに望むこと、生徒が塾に期待すること、講師がこの塾で働く理由、地域が塾に寄せる信頼。それぞれの立場から求められているものがあります。
ブランドは、2つの価値の一致点にある
ブランドとは、この提供価値と期待価値の一致点にあります。塾が伝えたいことを伝えるだけでは、ブランドは成り立ちません。発信する側の意図と、受け取る側が求めるもの。その重なりを見つけ、言葉にすることが、ブランドの定義になります。
一致点を見つける:歴史・先生・生徒・保護者・地域を見る
一致点は、机の上だけでは見つかりません。私たちは、双方の価値を可視化することから始めます。
歴史を見る。先生の話を聞く。生徒を見る。保護者を見る。地域を見る。
塾には、創業からの歩みや、教室で大切にされてきた習慣、講師が言葉にしないまま続けてきた工夫があります。一方で、保護者や生徒、地域が塾に求めるものは、時代とともに少しずつ変わっていきます。両方を丁寧に見ていくと、その塾にしかない一致点が見えてきます。
あわせて、市場と競合を分析し、その塾が地域の中でどんな位置にいるのかを確かめます。ほかの塾と比べたときに、何をもって選ばれるのか。その答えを、ポジショニング(地域や市場の中での立ち位置)として整理します。
私たちカフーブランディングは、教育メディア「ジュクタン」を2015年から運営し、教育の現場を取材しつづけてきました。生徒の顔、教室の空気、保護者の想いを知っているから、数字の奥にある「選ばれる理由」を見立てることができます。
一つの定義から、掲示物・紙面・Web・広告・AIまで
一致点を定義したら、次はそれを伝える接点を設計します。
塾が保護者や生徒と出会う接点は、さまざまです。教室の掲示物、チラシや冊子などの紙面、Webサイト、広告、SNS、LINE。そしていま、AIが語る言葉も、その一つに加わりました。保護者がAIに塾をたずねたとき、AIがどんな言葉でその塾を紹介するかも、ブランドの一部です。AIでの見え方を測る考え方は「AI想起率とは」でご紹介しています。
それぞれの接点を別々に考えると、チラシで伝えていることと、Webサイトで伝えていること、AIが語ることが、少しずつずれていくことがあります。私たちは、すべての接点を一つの定義から設計します。定義が一つにまとまっていれば、掲示物の一文も、広告のコピーも、Webサイトの構成も、同じ考え方から生まれます。
一つの定義は、塾の中で働く人たちにとっても共通の言葉になります。講師が保護者面談で伝えること、受付で保護者に案内すること、教室の掲示に書くこと。塾の中で同じ言葉が使われるようになると、外に向けた発信も自然とそろっていきます。
定義を言葉とビジュアルに落とし込むために、ブランドコンセプトやコピーの開発、ロゴ・キービジュアルの開発、保護者が継続的に戻ってくる情報の拠点づくりまでを行います。
一致点を広げる:定義して、動かして、測る
ブランドは、定義して終わりではありません。一致点が広がるほど、そのブランドは強くなります。
私たちは、塾のブランディングを一年のサイクルで考えています。
- 定義する:何をもって選ばれるのかを決め、言葉とビジュアルに落とす
- 動かす:これまでの募集広報を生かしながら、年間のカレンダーに乗せて毎月動かす
- 測る:検索・広告・サイトの数字に加えて、AIが自塾をどう語るかまで測る
塾にはすでに、体験会の告知や新年度のチラシ、季節ごとの講習の案内など、毎年積み重ねてきた募集広報があります。それらを定義に沿って整え、年間の広報カレンダーに乗せて、毎月の制作と配信を止めずに回していきます。そして、数字で届き方を確かめ、毎月の会議で次の一手を決める。この3つを一年で一周させ、毎年積み上げていくことで、一致点は少しずつ広がっていきます。
積み重ねてきた歴史と信頼を、次の時代へ
塾が積み重ねてきた歴史と信頼は、何より大切な財産です。ブランディングは、それを壊して新しいものをつくることではありません。そこにある価値を見つけ、言葉にし、デザインし、次の時代に届く形へ整えることです。
毎年の広報を、その年の募集だけで終わらせず、次の年へ積み上がる力にしていく。それが、私たちカフーブランディングの考える塾のブランディングです。
「そもそもブランディングとは何かを知りたい」というご相談からでも構いません。塾の現状をお伺いしながら、一緒に考えていきます。
この記事は、株式会社カフーブランディングが執筆しました。調査と構成の検討にAIを活用し、内容の確認と文責は当社が持っています。
